日本食品科学工学会誌
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研究ノート
精白米の塩溶液浸漬による低アレルゲン化
山田 千佳子鍋田 早希子山本 美由紀和泉 秀彦松田 幹加藤 保子
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2006 年 53 巻 11 号 p. 583-586

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抄録
米の主要アレルゲンはアルブミン・グロブリン画分に属する可溶性タンパク質であり,塩溶液に溶ける性質を持つ.一般に,米は炊飯する前に浸漬させることから,本研究では,米を一定条件下で浸漬することにより可溶性タンパク質が溶出することに期待し,これを利用した浸漬による米アレルゲンの低減化を目的とした.精白米を0,0.1,0.5MのNaCl溶液に浸漬し,4℃,30℃,50℃で24時間置いた後の米粒中から溶出したタンパク質について,またこのとき米粒中に残存したタンパク質を0.5MのNaCl溶液で抽出した可溶性タンパク質,および1%SDS溶液で抽出した総タンパク質について,それぞれの溶液中に含まれるタンパク質量をLowry法で,タンパク質組成をSDS-PAGEにより解析した.さらに,主要アレルゲンに対する抗体を用いたイムノブロットと阻害ELISAを行い,アレルゲン残存量を調べた.その結果,浸漬塩濃度,温度依存的にタンパク質の溶出量は増加した.これにともない,米粒残存可溶性タンパク質は浸漬塩濃度,温度依存的に減少しており,50℃,0.5MのNaCl溶液に浸漬した場合に14-16kDaおよび26kDaアレルゲンが顕著に減少していた.このときの14-16kDaアレルゲンをELISA法で定量した結果,浸漬前と比較して約45%に減少していた.米粒残存総タンパク質についても解析を行った結果,米主要貯蔵タンパク質であるグルテリンの減少は見られず,栄養価はある程度保持されていることが確認された.以上の結果より,炊飯前の浸漬時に塩濃度と温度を工夫することで,容易に低アレルゲン化が可能であることが示唆された.
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© 2006 日本食品科学工学会

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