日本食品科学工学会誌
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技術論文
油脂および乳化剤による米粉パンの物性改善
市川 和昭
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キーワード: 米粉, 米粉パン, 油脂, 乳化剤, 老化
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2010 年 57 巻 10 号 p. 420-426

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抄録

米の消費拡大と小麦確保のリスク軽減のために,小麦のみのパンと同等の風味や物性をもつ米粉パンを製造する検討を行った.強力粉の4分の1を米粉で置換し,この範囲内で強力粉のみのパンに近いものが得られた.うるち米の米粉の方がもち米に比して好ましいパンが得られた.強力粉の4分の1を米粉で置換した米粉パンについて添加油脂の影響を検討し,パンの経時的な老化(staling)の抑制に対してバターがもっともよいことがわかった.その量を増やすと,やや油分の多い風味の米粉パンとなったが,小麦粉パン程度の比容積と柔らかさがパン調製後(0日)および2日後も得られた.パンの比容積は添加油脂中の長鎖の飽和と一価不飽和脂肪酸の合計量あるいは長鎖の飽和脂肪酸量に比例し,液体油よりも固体脂がよいことがわかった.乳化剤としてMGを添加したとき米粉パンの老化が幾分抑制されたが,ショ糖脂肪酸エステルやレシチンの添加による改善効果は認められなかった.大学生への官能評価で小麦粉パンと小麦粉の4分の1を米粉で置換した米粉パンの間に嗜好の差は認められなかった.

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© 2010 日本食品科学工学会
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