日本食品科学工学会誌
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技術論文
凍結含浸法により軟化処理したレンコンの消化性
中津 沙弥香柴田 賢哉坂本 宏司
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2010 年 57 巻 10 号 p. 434-440

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抄録

凍結含浸法により軟化処理したレンコンの消化性を評価した.パンクレチンを用いて人工消化を行った結果,凍結含浸処理試料は,人工消化3時間までは経時的に不溶性固形物量が減少し,3時間で4.3±0.1 (g/100g)となり一定となった.対照試料は,人工消化9時間までは経時的に不溶性固形物量が減少し,9時間で6.7±0.1 (g/100g)となり一定となった.素材の硬さと人工消化後の不溶性固形物量には相関が認められ(rs=0.95, p<0.01),素材が軟らかいほど値が小さくなった.凍結含浸法による素材の軟化によって,消化可能な試料量が増加し,消化に要する時間が短縮されたと考えられた.
ラットへの胃内投与の結果,凍結含浸処理試料は,対照試料に比べて,胃内の水溶性色素残存率が高く,不溶性固形物のモード径および体積が小さかった.これらの結果から,水溶性成分の胃排出速度の抑制や腹部膨満感の防止効果が期待できた.
本研究の結果,凍結含浸法による食品素材の軟化処理によって,消化性が向上すると考えられた.

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© 2010 日本食品科学工学会
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