日本食品科学工学会誌
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研究ノート
常圧凍結乾燥におけるカットダイコンの含水率変化および乾燥・復水後の品質に関する基礎的研究
小出 章二西沢 佳恵齋藤 菜月大須賀 玲折笠 貴寛上村 松生
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2021 年 68 巻 12 号 p. 464-470

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抄録

カットダイコンをモデル材料とし,種々の温度で常圧凍結乾燥(風速0.43 m・s-1)させ,含水率の経時変化を指数モデルで表現するとともに,その乾燥特性と温度依存性について検討を試みた.更に常圧凍結乾燥後の試料の品質(色彩色度・糖度・復水率・テクスチャー)について測定・検討した.その結果,以下の知見を得た.

(1)常圧凍結乾燥において,試料の含水率の経時変化は指数モデルで精度よく近似できること,またその乾燥速度定数はアレニウス型の温度依存性を示すことが明らかとなった.

(2)常圧凍結乾燥はカットダイコンの形状の保持,明度の保持に適した乾燥法となるうることが示された.

(3)-5℃試料(常圧凍結乾燥)の微細構造を観察した結果,60℃試料(熱風乾燥)と比較して明確な空隙を有していた.このことより常圧凍結乾燥により試料内部に生じた氷結晶が昇華により空隙となったことが推察された.

(4)乾燥試料を復水させたところ,-5℃試料は60℃試料と比較して復水率が有意に高い傾向を呈した.また-5℃試料は60℃試料と比較して復水後のテクスチャー(破断強度,初期弾性率)に有意な差がみられないことが示された.

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© 2021 日本食品科学工学会
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