日本食品科学工学会誌
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68 巻, 12 号
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報文
  • 中澤 洋三, 吉田 彩乃, 鹿嶋 陽彦, 佐竹 絵梨, 伊藤 宏華, 為近 夢, 森竹 亮介, 南 和広, 相根 義昌
    2021 年 68 巻 12 号 p. 447-454
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    エミューすじ肉の食品理化学的特徴を明らかにした.エミューすじ肉は,牛すじ肉と比較して,高タンパク,低脂肪,高鉄分であり,コラーゲンを豊富に含んでいた.アスコルビン酸ナトリウムを原料肉類に対して0.2 %添加すると,ドライソーセージが明るく,赤みの強い色調へと改善し,適度な硬さと噛みごたえのある製品となった.ソーセージの乾燥期間を4日間とすることで,日本農林規格(JAS)のドライソーセージの基準を満たす水分35 %以下,水分活性0.87未満の製品となった.開発されたエミュードライソーセージは,市販品と遜色ない栄養性と物性を有し,風味以外の嗜好性が良好な製品であった.

  • 大須賀 玲, 小出 章二, 安倍 侑野, 折笠 貴寛, 上村 松生
    2021 年 68 巻 12 号 p. 455-463
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,カット西洋ナシを供試材料として-5℃で3日間の過冷却保存を適用し,保存後の試料組織の特性および理化学的特性について1℃で氷温保存した試料と比較した.はじめに試料組織の特性について,電気インピーダンス測定による細胞膜閉鎖性,光学顕微鏡観察による細胞構造,およびTTC還元法による細胞活性の観点から評価した.その結果,カット西洋ナシ試料は過冷却保存後も明確なCole-Coleプロットの円弧を描いたことから細胞膜閉鎖性が維持されたことが示された.また,生鮮試料と同等の細胞構造および細胞活性を有していたことが示された.理化学的特性について,過冷却保存した試料では目減り,色彩変化および軟化が氷温保存した試料よりも有意または有意傾向で抑制されたことが示された.さらに,エチレン生成が氷温保存した試料と比較して著しく抑制されたことが示された.以上の結果から,過冷却保存では氷温保存よりも更なる低温度帯の利用により,カット西洋ナシの品質保持および日持ち向上を期待できる可能性が示された.

研究ノート
  • 小出 章二, 西沢 佳恵, 齋藤 菜月, 大須賀 玲, 折笠 貴寛, 上村 松生
    2021 年 68 巻 12 号 p. 464-470
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    カットダイコンをモデル材料とし,種々の温度で常圧凍結乾燥(風速0.43 m・s-1)させ,含水率の経時変化を指数モデルで表現するとともに,その乾燥特性と温度依存性について検討を試みた.更に常圧凍結乾燥後の試料の品質(色彩色度・糖度・復水率・テクスチャー)について測定・検討した.その結果,以下の知見を得た.

    (1)常圧凍結乾燥において,試料の含水率の経時変化は指数モデルで精度よく近似できること,またその乾燥速度定数はアレニウス型の温度依存性を示すことが明らかとなった.

    (2)常圧凍結乾燥はカットダイコンの形状の保持,明度の保持に適した乾燥法となるうることが示された.

    (3)-5℃試料(常圧凍結乾燥)の微細構造を観察した結果,60℃試料(熱風乾燥)と比較して明確な空隙を有していた.このことより常圧凍結乾燥により試料内部に生じた氷結晶が昇華により空隙となったことが推察された.

    (4)乾燥試料を復水させたところ,-5℃試料は60℃試料と比較して復水率が有意に高い傾向を呈した.また-5℃試料は60℃試料と比較して復水後のテクスチャー(破断強度,初期弾性率)に有意な差がみられないことが示された.

  • 佐藤 之紀, 福原 夏美
    2021 年 68 巻 12 号 p. 471-477
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    1.自動製パン器の特性を生かして,菜種法で算出される食パンの容積を食パンの高さから換算できるかを検討した.

    2.一斤の食パンの全容積と食パンの高さの関係を調べたところ,両者はR2=0.768で表せた.

    3.さらに,画像データを印刷した写真の色をカラーリーダーで読み取ることで,食パンクラストの色の測定が代用できるか否かを検討した.

    4.食パンのデジタル画像を撮って,その印刷物からパンの色を求めた場合,複数の工程によって食パンの色は修飾されてしまうが,少なくともL 値の測定に関しては,カメラとプリンターが異なる2つのケースでほぼ同一な結果が得られた.このことから,L 値パラメータを食パンクラストの色測定に適用することについては,パン調製直後の色測定の作業を繰り下げて行うことが可能と思われた.

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