日本食品科学工学会誌
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研究ノート
小麦の麦角アルカロイド一斉分析法
佐野 勇気高橋 洋武橘田 規照井 善光望月 直樹
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2022 年 69 巻 7 号 p. 353-359

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抄録

種々の検討の結果, 迅速簡便な麦角アルカロイド12種の一斉分析法の構築に至った. 試料の前処理のミニカラムはCaptiva EMR-Lipidsが最適であった. 良好なMFが得られ, 2mLという少量で全化合物が完全に溶出し, かつ充てん剤に触れたときのepimerizationは起こらなかった. このミニカラムを用いた分析法の性能評価を実施したところ, 全ての化合物において, 選択性, 真度, 精度及び検量線の決定係数が目標値を満たす良好な結果が得られた. また, 低濃度でのLOQ及びLODが設定できたことにより, 10ng/g以下という微量の麦角アルカロイドを検出するに十分な高感度分析が達成できた. 本分析法を用いて市販小麦の汚染調査を行った結果, いずれの化合物も検出されず, 麦角アルカロイドによる汚染の可能性は低いことが示唆された.

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© 2022 日本食品科学工学会
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