卓上機と実用機を用いて,同じ配合比の原料でアイスクリームを製造し,フリージング中のオーバーランおよび微細構造の変化を比較した.両機器ともに,フリージングに伴いオーバーランが増加し,最大値に達した後に減少することが認められた.オーバーランが最大値に達した時点のアイスクリームの温度は,両機器ともに約-4 ℃であった.両機器によるアイスクリームの最大オーバーランの絶対値は異なるが,有意な正の相関が認められた.クライオSEMによる観察の結果,最大オーバーランとなる時点において,卓上機の方が実用機より空気や氷と考えらえる粒子が大きかったが,両機器ともにフリージング時間の経過とともに粒子が微細化する傾向は同様であった.以上より,オーバーランの推移および微細構造の変化は両機器で類似しており,さらに卓上機を用いた試作により実用機の最大オーバーランを推定できると考えられたため,アイスクリームの基礎研究における卓上機の有用性が示唆された.