抄録
製造工程中におけるトマトジェースの色および香りの変化を明らかにするための予備試験として加熱条件の差による化学成分の変化について調べた。生のもの,搾汁したトマトジェースを90℃で10分間だけ保持したもの,90℃で10分間保持したのち110℃および121℃でそれぞれ84秒間および42秒間殺菌したもの,90℃で40分間および90分間保持したのち,121℃で42秒間殺菌したものの7種の試料につき分析,比較した。その結果,加熱条件が高まるにつれて,
(1) リコピン,アスコルビン酸の減少,漿液の褐変の増加が認められた。リコピンは高温殺菌によりとくに影響を受けた。アスコルビン酸の減少および漿液の褐変は90℃の保持においてもかなり影響を受けた。
(2) アミノ酸は全体に減少の傾向にあった。スレオニンの減少はとくに著しかった。グルタミン酸も減少したが,総アミノ酸中の含有率はわずかに増加した。ペプチド量には変化はみられなかったが,A.P.L.は減少した。
(3) PCAは明らかに増加し,リンゴ酸はわずかに減少した。糖組成には大差は認められなかった。
(4) 総ウロン酸は減少の傾向にあった。ガラクチェロン酸は明らかに減少した。
(5) 化学成分の変化と色および香りとの関係について考察を行った。