日本食品科学工学会誌
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エーテル架橋タピオカ澱粉の糊化に及ぼす天然安定剤の影響
藤井 繁佳
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1995 年 42 巻 10 号 p. 843-848

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抄録

エーテル架橋タピオカ澱粉の糊化特性を示差熱分析,顕微鏡写真及びブラベンダービスコグラフにて調査した.更に,当該澱粉のビスコグラムに及ぼす天然安定剤の影響についてもあわせて検討した.天然安定剤として代表的なゼラチン,ローカストビーンガム,キサンタンガム,カラギーナン,グアーガム,ペクチンとタマリンドガムを対象とした.その結果,天然安定剤はエーテル架橋タピオカ澱粉のビスコグラムを変化させることが明らかとなった.グアーガムとローカストビーンガムは,95℃に達した後の粘度を上昇させた.他の天然安定剤は逆に粘度を低減させた.また,グアーガムを除く他の安定剤はエーテル架橋タピオカ澱粉の糊化開始温度を,上昇させ糊化の抑制を示唆した.保水性あるいはゲル形成性が高い安定剤ほど,エーテル架橋タピオカ澱粉が糊化する際に必要とする水分を制限しているものと推察された.ゼラチンとエーテル架橋タピオカ澱粉との交互作用をビスコグラム上で検討したところ,澱粉濃度が高いときは,ゼラチンの添加は糊化を抑制し,澱粉濃度が低い時には,糊化を促進するという興味ある知見を得た.

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