日本食品科学工学会誌
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乳清タンパク質ゲル物性へのキチン粉末添加の影響
粉粒体の混合による食品ゲルの物性変化(第2報)
中川 恭子太田 隆男中塚 正博田中 達郎林 由佳子松村 康生森 友彦
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1995 年 42 巻 3 号 p. 147-154

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抄録
乳清タンパク質ゲル物性へのキチン粉末添加の影響を検討し,次のような結果を得た.
(1) タンパク質濃度を増すことにより,乳清タンパク質ゲルの「かたさ」,「弾性体近似値」,「弾力性」に関する力学的特性値は増加したが,「脆さ」に関する特性値は変化しなかった.
(2) キチン粉末を添加することにより,乳清タンパク質ゲルの「かたさ」に関する力学的特性値が減少した.これはタンパク質濃度を増加させた場合の変化とは異なるものである.しかし,キチン添加により,「弾性体近似性」に関する力学的特性値は増加し,「脆さ」の特性値は変化しなかった.これらはタンパク質濃度を増した場合の結果と同様である.
(3) ゲルの「弾力性」に関する特性値へのキチン添加の影響は,30分と60分加熱のゲルでは異なった.すなわち,前者では減少する傾向が,後者では増加がみられた.
これらの結果から,キチン粉末を添加することにより,乳清タンパク質ゲルの「かたさ」が前報3)の卵白とは対照的な変化を示すことがわかった.キチン粉末添加のゲル物性への影響はタンパク質の種類をはじめゲル化条件によっても異なることが示唆された.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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