実用的な技術として高濃度CO
2短期間処理がイチゴ果実の品質,とくに硬度保持に及ぼす影響を調べる目的で,処理温度,品種,収穫熟度による処理効果の差異を調査した.
(1) '宝交早生'を市場より購入後直ちに1℃および20℃下で,CO
2処理(CO
2:0
2:N
2=20:10:70)を24時間行い,20℃に貯蔵したところ,果実硬度は大きくなった.また,処理果で,カビの発生が抑制された.
(2) 'Tioga' (100%着色果)を収穫し,20℃下でCO
2処理を行い,同温度に貯蔵した.'宝交早生'と比べて処理効果は小さかったが,処理による果実硬度及び外観の保持効果がみられた.
(3) '宝交早生'を30%, 70%, 100%着色果に分けて収穫し,1℃下で処理を行い,同温度に貯蔵した.果実硬度は,いずれの熟度でも処理果の方が無処理果よりも大きかったが,30%着色果での処理効果が最も大きかった.貯蔵11日では無処理果の約2倍の硬度(クリープメーター示度)を示した.また,果実の着色も処理果で遅い傾向があり,30%着色果で特に顕著であった.
CO
2処理が全糖含量,アスコルビン酸含量に及ぼす影響はほとんどなかった.アントシアン含量は,処理果で小さい傾向にあり,30%着色果でその差が大きかった.
ペクチン物質について調べたところ,処理果では,処理直後にWSPの比率が急減し,HMPの比率が増加した.
(4) これらの結果から,'宝交早生'果実では処理温度に関係なく,CO
2処理による果実硬度の増大と品質保持効果のあることが明らかとなった.また,その効果は未熟な果実ほど大きいことがわかった.
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