日本食品科学工学会誌
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S-カルボキシメチル化および加熱β-ラクトグロブリンの蛋白質分解酵素処理
奥村 史朗鐘ヶ江 裕志山田 耕路菅野 道廣
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1995 年 42 巻 8 号 p. 583-587

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抄録
β-LgはpH 3.5においてpH 7.0の時より難分解性であった.S-CM化したβ-LgはpH 3.5の緩衝液中においても容易に分解し,このことからpH 3.5におけるβ-Lgの難分解性はその立体構造に起因していると推測された.pH 3.5ではオリエンターゼ20Aが,pH 7.0ではトリプシン,キモトリプシン,オリエンターゼONS,デナチームAPが分解のために有効である.β-Lgを60℃-80℃で加熱変性することにより分解性がよくなる.各種プロテアーゼによるβ-Lg分解物をELISA抑制試験したところ,pH 3.5での分解物ではオリエンターゼ20Aによる分解物がもっともアレルゲン性が低下しており,β-Lgに比べて1/100であった.pH 7.0ではキモトリプシンによるβ-Lg分解物のアレルゲン性が最も低下しており,β-Lgに比べて約1/1000となった.ELISA抑制試験におけるアレルゲン性の低下は,β-Lgの残存量によるスクリーニング結果とほぼ同じ順序となった.
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