日本食品科学工学会誌
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温州ミカンの搾汁方式の違いが限外濾過法による果汁の清澄化に及ぼす影響
限外濾過法による温州ミカン果汁の清澄化に関する研究(第2報)
坂本 宏司井上 敦彦太田 英明
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1995 年 42 巻 9 号 p. 619-626

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抄録

搾汁法の異なる温州ミカンストレート果汁および濃縮還元果汁について限外濾過法による清澄化を行い,それらの透過流束の変化および得られた清澄果汁の品質について検討した.
(1) いずれの膜においても,遠心分離によるパルプ質除去効果か認められた.
(2) 果汁別でみると,いずれの膜においてもインラインストレート果汁>インライン濃縮還元果汁>チョッパーパルパーストレート果汁の順で透過流束は高かった.
(3) 得られた清澄果汁の糖,有機酸およびアミノ態窒素含量は大きな差は認められなかったが,精油成分および色調に差が認められた.すなわち,ジルコニア膜処理果汁はポリスルホン膜処理果汁に比べて,色調は淡く,テルペン系炭化水素類は極めて少なかった.また,果汁別ではインラインストレート清澄果汁は良好な香りを有していたのに対し,濃縮還元果汁およびチョッパーパルパーストレート果汁の清澄果汁の香りは,テルヘン系炭化水素類が減少することにより,温州ミカンらしい香気が低下し,反対に加熱臭,青草臭などの異臭が感じられるため品質的に劣っていた.
本研究は農林水産省「特定農産物緊急技術開発事業(カンキツ)」

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