日本食品科学工学会誌
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42 巻, 9 号
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  • グロビンの乳化特性の改善(第2報)
    馬場 年生, 宮口 右二, 永山 精美, 堤 将和
    1995 年 42 巻 9 号 p. 613-618
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    尿素加熱処理グロビン(UHG)ならびにUHG-脂肪酸複合体を調製し,それらの乳化特性について検討した.
    1. グロビンの乳化活性ならびに乳化安定性は,グロビンを処理する尿素濃度によって変化した.結果的には,6M尿素加熱処理グロビンで最大の乳化活性値が,また,本グロビンエマルションで最も高い乳化安定性が得られた.
    2. UHGの乳化活性ならびに乳化安定性は,pH 7.0とpH 8.5でグロビンよりも高く,酸性側(pH 2.5-pH5.5)では,グロビンよりも低かった.
    3. UHGの溶解性は,pH 4.0-pH 5.0で最低となった.また,pH 2.0-pH 6.0の範囲で,溶解性はグロビンよりも低く,pH 7.0-pH 9.0ではグロビンよりも高かった.
    4. 脂肪球に吸着しているタンパク質量を定量した.酸性側でグロビンエマルションの脂肪球は,UHGエマルションのそれよりも多くタンパク質を吸着していた.しかし,中性からアルカリ性側では,UHGエマルションの脂肪球の方が,より多くタンパク質を吸着していた.
    5. グロビンの表面疎水性は,pH 7.0とpH 5.5でUHGよりも高く,酸性側ではUHGよりも低かった.
    6. UHGFAあるいはUHGFBの乳化活性ならびに乳化安定性は,いずれもグロビンと同程度か,あるいは,グロビンより高かったが,UHGに勝るものではなかった.
  • 限外濾過法による温州ミカン果汁の清澄化に関する研究(第2報)
    坂本 宏司, 井上 敦彦, 太田 英明
    1995 年 42 巻 9 号 p. 619-626
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    搾汁法の異なる温州ミカンストレート果汁および濃縮還元果汁について限外濾過法による清澄化を行い,それらの透過流束の変化および得られた清澄果汁の品質について検討した.
    (1) いずれの膜においても,遠心分離によるパルプ質除去効果か認められた.
    (2) 果汁別でみると,いずれの膜においてもインラインストレート果汁>インライン濃縮還元果汁>チョッパーパルパーストレート果汁の順で透過流束は高かった.
    (3) 得られた清澄果汁の糖,有機酸およびアミノ態窒素含量は大きな差は認められなかったが,精油成分および色調に差が認められた.すなわち,ジルコニア膜処理果汁はポリスルホン膜処理果汁に比べて,色調は淡く,テルペン系炭化水素類は極めて少なかった.また,果汁別ではインラインストレート清澄果汁は良好な香りを有していたのに対し,濃縮還元果汁およびチョッパーパルパーストレート果汁の清澄果汁の香りは,テルヘン系炭化水素類が減少することにより,温州ミカンらしい香気が低下し,反対に加熱臭,青草臭などの異臭が感じられるため品質的に劣っていた.
    本研究は農林水産省「特定農産物緊急技術開発事業(カンキツ)」
  • 受田 浩之, 後藤 幸彦, 沢村 正義, 楠瀬 博三, 亀井 俊郎
    1995 年 42 巻 9 号 p. 627-633
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    Nitro Blue Tetrazolium (NBT)とビタミンK3を組み合わせた生乳の簡易微生物数計測法を開発した.
    最適反応条件として,ビタミンK3を飽和した0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を用いて1mM NBT溶液を調製し,これを発色液とした.生乳試料と本発色液を等量混合して,20分から40分後の発色の程度を色彩色差計を用いてb値の変化として測定した.夾雑物質として尿酸及びアスコルビン酸の影響について調べた結果,通常の生乳中における濃度ではそれらの物質は測定値に大きな影響を与えないことが明らかとなった.41検体の生乳を用いて標準平板培養法による微生物数と本法のb値の変化との相関を調べたところ,両対数プロットにおいて両者の間には相関係数0.942の直線的関係が認められ,本法が生乳の微生物数の計測法として適用できることが明らかとなった.なお,検出下限は微生物数として10×104/ml程度であった.
    本法は試料を等量の発色液と混合し,20分程度放置するだけで微生物数を推定することが可能な極めて簡便でかつ迅速な方法である.また試料の前処理を一切必要としないため,フィールドでの実施も可能である.
  • 井上 茂孝, 次田 和正, 小池 誠治, 丸銭 詔司, 鴨居 郁三
    1995 年 42 巻 9 号 p. 634-642
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    脂肪酸種の異なるモノグリセリド(ステアリン酸モノグリセリド,オレイン酸モノグリセリド,エライジン酸モノグリセリド)の製パン性に対する影響について検討した.
    飽和脂肪酸のモノステアリンは,生地物性の改善には効果を示さず,焼き上がり後のパンの老化抑制に効果を示した.不飽和脂肪酸のモノオレイン,モノエライジンは,生地物性を改善し,特にモノエライジンは老化抑制にも効果を示した.
    生地物性改善の作用機構について,生地中のモノグリセリドの存在状態について検討したところ,モノステアリンは,グルテン:デンプン=1:20の比率で存在していたのに対し,モノオレイン,モノエライジンはグルテン:デンプン=1:1の比率で存在し,両モノグリセリドがグルテンに対し高い親和性を示し,グルテン中のモノグリセリド量が生地物性に影響することが判明した.
  • ヒータへの電気入力が一定の場合
    佐藤 秀美, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1995 年 42 巻 9 号 p. 643-648
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    放射伝熱による焼き加熱において,電気入力を一定にした場合,ヒータの種類の違いに起因する放射伝熱量および放射波長特性が食品の仕上がり状態に及ぼす影響を調べた.結果の解析に際し,放射伝熱量および放射波長特性の影響を分離するため,放射伝熱量を独立変数とした回帰分析を行った.その結果,以下のことが明らかになった.
    (1) 電気入力が同じでも,ヒータの種類の違いによって食品に向けて放射される熱量,すなわち放射伝熱量は異なる.放射伝熱量は,近赤外線を多く放射するヒータほど大きく,ヒータの種類により,最大約24%異なることがわかった.
    (2) クラスト層の厚さは,近赤外線領域以降を主に放射するヒータで加熱した場合,加熱時間にかかわらず放射伝熱量の影響を強く受ける.これに対し,可視光領域を主に放射するヒータで加熱した場合,クラスト層の厚さは,加熱初期においては放射波長特性の影響を強く受け,加熱時間の経過に伴い,放射伝熱量の影響を強く受けるようになる.クラスト層の水分含量は,いずれのヒータにおいても,加熱初期には放射伝熱量の影響を強く受け,その後,放射波長特性の影響が強くなる.
    (3) 着色状態は,近赤外線領域以降に放射ピークのあるヒータで加熱した場合,加熱初期において,放射波長特性の影響を強く受けるが,その後,放射伝熱量の影響を強く受ける.可視光領域に放射ピークのあるヒータでは,加熱全般を通して,着色状態は放射波長特性の影響を強く受ける.
  • 渡辺 満, 佐藤 暁子, 大澤 良, 寺尾 純二
    1995 年 42 巻 9 号 p. 649-655
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ソバ種子を果皮と子実に分離し,ラジカル連鎖切断型抗酸化剤としての活性による素材の評価を行い,品種間差異を検定するとともに,抗酸化活性の簡易推定を試みた.
    (1) 果皮・子実から,極性の異なる3種類の溶媒を用いて調製した試料液の抗酸化活性は,極性の高いエタノール抽出物の活性が最も高かった.また-20℃で保存すれば,抽出後1ヵ月程度は活性の有意な変動は認められなかった.
    (2) ソバ種子エタノール抽出物の抗酸化活性には,果皮・子実とも品種間差異が認められ,供試した中では果皮は鹿屋在来種,子実は九戸在来種No. 3とソ連産No.11の抗酸化活性が高かった.α-トコフェロールのペルオキシラジカル捕捉速度のパラメーター(kinh/kp)はソバ種子の10-20倍,ケルセチンは約2倍,カフェー酸はほぼ同じ,フェルラ酸は約1/2であった.
    (3) ソバ種子エタノール抽出物添加時の脂質過酸化率(Rinh/Rp)は,総ポリフェノール量から標準誤差が果皮では2.8%,子実では4.1%で推定可能であり,総ポリフェノール量から,ソバ育種素材の抗酸化活性の評価が可能となった.
  • 渡邊 智子, 鈴木 彰
    1995 年 42 巻 9 号 p. 656-660
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ブナシメジは生育工程におけるCO2暴露(対照区:CO2 350pm, CO2区:CO2 6000ppm)の影響を,暴露直後および収穫期について,化学成分面から検討した.
    CO2暴露により収量は,暴露直後では若干,収穫期では1.4倍に増加した.
    暴露直後のCO2区で対照区に対し増加した成分は,炭水化物以外の一般成分,全無機質,V.B2, C18:2およびP/S比であった.一方,収穫期のCO2区で対照区に対し増加した成分は,炭水化物以外の一般成分,NaおよびZn以外の全無機質,V.B2, V.C, C18:0, C18:2およびP/S比であった.
  • 太田 義雄, 高谷 健市, 中川 禎人
    1995 年 42 巻 9 号 p. 661-665
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    野菜加工品の品質保持を図るため,その原料野菜(キュウリ)の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の殺菌洗浄条件について検討した.
    (1) NaOClの作用pHは4.0-6.0が最適であり,殺菌作用力を高めるためにはpHの調整が重要であった.
    (2) NaOClの有効塩素は50-100ppmが効率的であり,100ppm以上にしてもキュウリの殺菌効果はあまり変わらなかった.
    (3) NaOClの殺菌効果は温度を高くすることにより高まり,殺菌時間を短縮することが可能であった.
    (4) NaOCl洗浄(作用pH 6.0,有効塩素100ppm,温度20℃)においてキュウリの生菌数(105-106/g)を10102オーダー減少させるためには浸漬時間は30分以上が必要であった.
  • グロビンの乳化特性の改善(第1報)
    馬場 年生, 宮口 右二, 永山 精美, 堤 将和
    1995 年 42 巻 9 号 p. 666-671
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    グロビン-脂肪酸複合体を調製し,得られた複合体の乳化性について検討した.脂肪酸としては,ステアリン酸(C18),ミリスチン酸(C14)およびデカン酸(C10)を用いた.
    1. グロビンをエタノール,尿素およびβ-メルカプトエタノールで前処理すると,グロビンの上記脂肪酸に対する親和性は大きく変化した.
    2. グロビンエマルションの安定性は,pH 7.0で最低であったが,尿素加熱処理グロビンあるいはβ-メルカプトエタノール処理グロビンのエマルションは,pH 7.0でも高い安定性を示した.
    3. 中性付近でのグロビンの乳化性は,脂肪酸との複合体を形成させることによって改善された.特に尿素加熱処理グロビンと脂肪酸との複合体は,pH 7.0で,優れた乳化性を示した.
  • 大豆タンパク質の冷蔵ゲル化現象に関する研究(第4報)
    添田 孝彦
    1995 年 42 巻 9 号 p. 672-676
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    冷蔵ゲルを中心とした大豆タンパク質ゲルのゲル状食品への適性を,ソーセージ,ハンバーグ,さつま揚げを用いて調べた.その結果,冷蔵ゲルは加熱ゲル,凍結ゲル,SPIと比べてゲル状食品への高い適性をもち,畜肉や魚肉すり身に対する高い代替の可能性を示した.特に,ハンバーグのようなヘテロジニアスな歯ごたえを有する食品に対してはテクスチュロメータ物性並びに官能評価の結果から,畜肉代替比率50%でも対照(大豆タンパク質無添加)と同等の食感を有した.一方,ソーセージとさつま揚げの場合は畜肉代替比率が50%であると,その物性は対照よりも劣った.その理由は両サンプルともかたさと弾力の低いスコアーのためであった.
    以上より,冷蔵ゲルはゲル状食品において畜肉や魚肉すり身の高い代替が可能であった.これは冷蔵ゲルのもつしなやかで喉ごしのよいゲル物性が最終食品の物性に活用されたためであり,冷蔵ゲルの性質が畜肉や魚肉すり身との親和性を向上したためであると考えられた.この冷蔵ゲルの高い親和性は,冷蔵ゲルが加熱ゲルのようなS-S結合主体のゲル化ではなく,疎水結合や水素結合主体のゲル化であると考えられる2)ことに基因していると推察された.
  • 水産物の非破壊分析法に関する研究-II
    奚 印慈, 山口 敏康, 竹内 昌昭, 飯田 遙
    1995 年 42 巻 9 号 p. 677-681
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    1. 魚油の酸化により発生する臭いを熱線型半導体式ガスセンサーであるニオイセンサーにより測定する条件について検討した.
    2. 今回設定した測定条件によればニオイセンサーにより求めたニオイ濃度値は魚油の酸化程度の指標として用いることができることを明らかにした.
    3. 本法が抗酸化剤の効果の評価の際に応用できることを示した.
  • 田畑 武夫, 篠原 寿子
    1995 年 42 巻 9 号 p. 682-686
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ヒラタケやナメコをカルシウム添加培地で栽培した.1, 5, 10%の濃度のカルシウム化合物を添加したPSA培地とオガクズ培地におけるこれらのキノコの菌糸生育状況を調べた.収穫後これらのキノコの子実体中のカルシウム含量を測定し以下の結果を得た.(1)キノコの菌糸生育はカルシウム化合物の種類や添加量および培地の初発pHによって影響された.(2)供試したリン酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭酸カルシウムおよび酢酸カルシウムの中では,炭酸カルシウムがPSA培地およびオガクズ培地上でヒラタケ菌に対し良好な菌糸生育を示した.オガクズ培地で栽培したヒラタケ子実体のカルシウム含量は無添加培地からのそれに比べて1.4倍に増加していた.(3) PSA培地およびオガクズ培地上でのナメコ菌の菌糸生育はリン酸カルシウムが最も効果的であった.オガクズ培地で栽培したナメコ子実体のカルシウム含量は無添加培地のそれに比べて2.3倍に増加していた.
  • 限外濾過法による温州ミカン果汁の清澄化に関する研究(第1報)
    坂本 宏司, 井上 敦彦, 太田 英明
    1995 年 42 巻 9 号 p. 687-691
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    高分子膜およびセラミック製無機膜を用いて温州ミカンモデル果汁の清澄化を行い,精油が透過流束に及ぼす影響および精油成分の透過特性について検討した.
    (1) ポリスルホン膜で処理した場合,精油は膜面へ吸着し,透過流束を低下させた.ペクチンが精油と共存すれば,精油は透過流束に影響を及ぼさないことが明らかになった.一方,ジルコニア膜処理においては,精油の影響は全く認められなかった.
    (2) ポリスルホン膜で処理した場合,精油の主要構成成分であるテルペン系炭化水素類の透過率は10%以下であった.一方,テルペン系アルコールであるリナロールは大部分透過した.他方,ジルコニア膜処理ではテルペン系炭化水素類はほとんど透過せず,テルペン系アルコールは透過率は比較的高かった.
  • 乙黒 親男, 小竹 佐知子, 金子 憲太郎, 天野 義文
    1995 年 42 巻 9 号 p. 692-699
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    小ウメ果実および小梅漬けから細胞壁多糖類を分画し,それらの化学組成と硬度の関係について検討した.両者の各細胞壁多糖類画分の主成分はペクチン質(PS)画分がガラクツロン酸(AGA),ヘミセルロースI(HC-I)画分が中性糖と蛋白質,ヘミセルロースII(HC-II)画分が中性糖と灰分,セルロース(CL)画分が中性糖であった.一方,塩蔵中の小梅漬けの硬度と多糖類組成はCa添加の有無により明らかな差異を生じた.すなわち,軟化した対照区はHC-IとCL画分が減少し,PS画分が増加したのに対し,硬度が保持されたCa区はPS画分が減少,CL画分が増加した.またCa区のPS画分は低メトキシル基化が起こり,その灰分とCa含量が増加したのに対し,CL画分は中性糖(特にClc)が減少し,灰分,CaおよびAGAが増加した.さらにその糖組成の結果から,CL画分にはAGAやAra, Gal等の中性糖に富んだ多糖類が存在し,これらがセルロースミクロフイブリルと強く結合していることが示唆された.以上の結果から,小梅漬けの硬度差は主として二次細胞壁に存在するCL画分と他のマトリックス多糖類との結合機構の違いを反映したものと考察した.
  • 福崎 智司, 浦野 博水, 永田 員也
    1995 年 42 巻 9 号 p. 700-708
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    食品製造装置表面のファウリング機構の解明の一端として,高メトキシル(HM)および低メトキシル(LM)ペクチンのステンレス鋼粒子表面への吸着特性について検討した.溶液のpHが上昇すると共に,HM, LMペクチンの負の電荷等量は増加し,分子の膨脹も付随して起こった.HM, LMペクチンは,正または負に帯電したステンレス鋼粒子表面へ自発的に吸着した(pH 3~6).HM, LMペクチンの吸着等温線は共にLangmuir型で近似的に表された.HM, LMペクチンの飽和吸着量は,溶液のpHの減少と共に増加する傾向にあり,ペクチン分子のカルボキシル基の解離度の減少と相関していた.非解離型HM, LMペクチンの吸着分子は, NaOH (0.25N)によるアルカリ洗浄によって容易に脱離した.一方,正帯電のステンレス鋼表面に吸着しているアニオン性のHM・LMペクチン分子は,アルカリ洗浄に対してより高い抵抗性を示し,高い残留量を示した.ペクチン(HM, LM)とステンレス鋼の間に静電的引力が働くpHにおいて,電解質(1, 2価)によりペクチン分子の電荷を遮蔽あるいは分子間架橋すると,ペクチンの吸着量は増加すると共に,アルカリ洗浄による吸着分子の脱離性も向上した.以上の結果より,水-ステンレス鋼界面でのペクチンの吸・脱着挙動は,ペクチン分子とステンレス鋼表面の荷電状態によって決定されると考えられた.
  • 収穫後における葉菜類のクロロフィル分解機構,第9報
    山内 直樹, 吉村 美紀, 生野 世方子, 小机 信行
    1995 年 42 巻 9 号 p. 709-714
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    貯蔵に伴うクロロフィル(Chl)の分解機構を明らかにするため,ミツバを使用し,Chlとその分解物の変化を調べ,さらにChlの分解に関与する酵素活性についても検討した.
    ミツバの葉におけるChl含量は,25℃貯蔵の黄化に伴い急減した.Chl分解物としてクロロフィリッド(Chlide)aおよび132-ハイドロキシクロロフィルaが検出されたが,25℃貯蔵中,両含量とも少量で,増加は認められなかった.クロロフィラーゼ活性は25℃貯蔵に伴い急増し,一方ペルオキシダーゼ活性は急減した.リポキシゲナーゼは,1℃ならびに25℃貯蔵に伴い増大がみられた.さらに,クロロフィラーゼ,ペルオキシダーゼ,リポキシゲナーゼおよびクロロフィルオキシダーゼなど,Chl分解に関連する酵素活性が,ミツバから分離されたクロロプラストに認められた.
  • 何 文慶, 黄 孟山
    1995 年 42 巻 9 号 p. 715-719
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    低イオン強度溶媒(0.1M KCl)で抽出した台湾産サバヒー筋形質タンパク質(Sp-P)をMWCO30000限外ろ過装置で回収し,その特性を検討した.昇温加熱によると,Sp-Pの凝集及び濁度変化は40℃以上から顕著となった.凝固率,反応性SH基及び乳化活性の変化も,濁度と同様の温度範囲で認あられた.また,DSC分析により,限外ろ過装置で回収したサバヒーSp-Pの変性は40-50℃で起こることが判明した.
  • 中村 良
    1995 年 42 巻 9 号 p. 720-726
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 チセ
    1995 年 42 巻 9 号 p. 727
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 大澤 俊彦
    1995 年 42 巻 9 号 p. 728-735
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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