日本食品科学工学会誌
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小麦粉生地の粘着性
三木 英三造田 英孝山野 善正
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1996 年 43 巻 5 号 p. 472-479

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抄録

生地の粘着性の測定を試みるとともに,粘着性(付着性,付着力,伸びの各パラメーター)に及ぼす生地の調製条件の影響を検討し次の結果を得た.
(1) 生地の粘着性パラメーターは,変形率あるいは圧縮で発生する応力を増加させると増大した.
(2) 加水量の増加により生地の付着性と伸びは増加したが,付着力は47.5%まで増加しそれ以上の添加では減少した.生地の粘着性には生地の粘弾性と生地表面のぬれが大きく関与すると考えられる.
(3) 塩化ナトリウムの添加で粘着性のパラメーターは増加し,1~6%添加でほぼ一定値を示したが,8%添加で減少した.
(4) 混捏時間とともに生地の粘着性の各パラメーターは10分まで増加し,それ以上の混捏で減少した.
(5) 生地の粘着性の各パラメーターは生地pH 6付近で最大値を示した.
(6) タンパク質含量が増加すると,付着性と伸びは増加したが,付着力は減少した.
(7) 生地を熟成すると粘着性パラメーターは2ないし4時間まで増加し,以後減少した.めん帯熟成では,塩化ナトリウム無添加生地では時間とともに粘着性パラメーターは増加したが,塩化ナトリウム添加生地では粘着性パラメーターの変化は小さかった.

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