日本食品科学工学会誌
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ポリオール水溶液の低温における示差走査熱量測定
裏地 達哉河野 宏行中島 京子下山田 真渡辺 乾二
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1997 年 44 巻 5 号 p. 380-385

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抄録

本研究では,ポリオール水溶液(ソルビトール,キシリトール,マルチトールとラクチトール)の示差走査熱量測定(DSC)から求めた凝固点(Tm)と溶解度により相平衡図を描いて共晶点を求め,これらの値を相応する還元糖(グルコース,キシロース,マルトースとラクトース)についても明らかにした.さらに,DSCから求めたガラス転移点(Tg'),Tg'における溶液濃度(Cg')および水分濃度(Wg',不凍水量に相当)を求めた.その結果,ポリオールの特性を相応する還元糖と比較すると,Tmは単糖類でポリオールの方が僅かに高く,二糖類はほぼ同等であった.溶解度はポリオ―ルの方がかなり高かった.このことから,両グループ間の共晶点に大きな差異があり,ポリオールの方がより低温で高濃度であると認めた.両グループ間のTg'(開始温度)はポリオールの方が低い傾向にあり,単糖類の両グループのTg'はほぼ近似していたが,二糖類では大きな差がみられた.また,状態図法によって求めた全試料のCg'は73~87%の範囲であり,ROOSのデータ9)と近似していた.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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