日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
かまぼこの物性への加工条件および原料魚種の影響
中川 恭子太田 隆男杉山 雅昭阿部 洋一高間 浩蔵森 友彦
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 44 巻 7 号 p. 501-507

詳細
抄録

圧縮試験による物性測定と測定データの因子分析・三次元グラフ表示の手法を用いて,市販かまぼこおよび調製かまぼこのテクスチャー評価を行った.その結果,原料魚の漁場による物性の差異,加工条件(加熱温度,デンプン添加量,加水量),保存日数による物性への影響に関して以下のような知見を得た.
1. 17種の市販かまぼこは,原料魚種(たら,はも,ぐち)によってそれぞれ異なるクラスター状の分布を示し,物性(テクスチャー)がそれぞれ特徴的に異なることが示された.
2. ゼリー強度では差異が示されなかった調製かまぼこについて,本手法では明確に差異が示された.また,本手法による評価と官能評価との相関が高い傾向がみられた.
3. 加水量が増えると,圧縮率に関する力学的特性値は増加したが,圧縮回復性,かたさに関する特性値は減少した.デンプン量が増えると圧縮率に関する力学的特性値は減少する傾向が,かたさに関する特性値は増加する傾向がみられた.加熱温度が高くなると,圧縮率,圧縮回復性,かたさに関する力学的特性値は増加した.保存日数が長くなると圧縮率に関する力学的特性値は減少した.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top