日本食品科学工学会誌
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食品中の非金属異物検出のためのCdTe素子センサによる透過X線スペクトル解析
小川 幸春守田 和夫田中 俊一郎Chi N THAI
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1998 年 45 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
透過X線スペクトルを利用した食品中の非金属異物の検出の可能性を検討し,以下の知見を得た.(1) CdTe素子センサを使ったX線スペクトル計測システムを構築し,透過X線スペクトルの計測および解析が可能になった.(2) 透過X線スペクトルからエネルギレベルごとのX線線吸収係数μの変化が求められ,μ値の違いを利用することにより,異物検出の可能性が示唆された.(3) 蒸留水と塩化ビニルプレートの複合モデルの透過X線スペクトルおよび微分スペクトルを求め,透過X線強度とピークの移動から蒸留水中の塩化ビニルプレートの検出および混入割合の推定が可能となった.(4) 実際の食品中の異物検出に適用した結果,ハンバーグの微分スペクトルのピークは15.5keV,ガラスプレートが混入すると17.5keV,塩化ビニルプレートが混入すると17.0keVとなり,計測する対象物に合わせたしきい値を設定すれば,異物検出に適用できることが明らかになった.しかし,実用的には試料厚さの影響や材料の混合状態の変動などを考慮しなければならない.(5) 透過X線スペクトル手法は,X線吸収特性の異なる食品中の異物検出の有効な手段の一つと考えられ,専用ソフトウエアの構築により,非金属異物に対する自動検出の可能性が示された.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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