1998 年 45 巻 7 号 p. 415-419
マッシュルームチロシナーゼによるチロシンのドーパへの水酸化反応において,分子内のアミノ基が初期の水酸化反応における電子供与体として作用するものと先に推定したが,このことは反応液中にアンモニアの生成が認められ,またアミノ基を保護したN-アセチルL-チロシンやp-ヒドロキシフェニルピルビン酸を基質とした場合に反応が進行しないことから支持された.一方,LC-MSにより各種の生成物が認められたが,そのうちの主要反応生成物の一つが5,6-ジヒドロキシィンドールと同定された.それをもとに植物におけるメラニン生成機構での新たなもう一つの経路の存在を提示した.