日本食品科学工学会誌
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45 巻, 7 号
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  • 阿部 茂, 大庭 潔
    1998 年 45 巻 7 号 p. 391-397
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    利用価値に乏しいブナサケの有効利用として,うま味の強いサケの節を開発することを目的とし,製造工程の検討,及びプロテアーゼの選択試験を行った上でサケ節の製造実験を行った.その結果,加熱工程を煮熟から蒸煮にかえることによりエキス成分の損失を減少させ,かつ生肉にプロテアーゼを注入,酵素反応を経ることでエキス成分の増大を図ることによりうま味の強い節が得られることがわかった.
  • 岡留 博司, 豊島 英親, 須藤 充, 安東 郁男, 沼口 憲治, 堀末 登, 大坪 研一
    1998 年 45 巻 7 号 p. 398-407
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    一般飯用米を対象にして,米飯1粒の多面的物性測定(低圧縮試験・高圧縮試験・積算加重試験)を行い,米飯物性と成分・官能検査項目との関連性を検討した.
    (1) 供試した一般飯用米はタンパク質含量及びアミロース含量とも1992年産米よりも1993年産米の方が高い傾向を示した.官能検査における「総合評価」の高い米は官能検査の「軟らかさ」及び「粘り」の評価において,軟らかく,粘りがあり,「外観」の評価も良好であった.
    (2) 低圧縮試験及び高圧縮試験によって一般飯用米の物性を測定した結果,一般飯用米の米飯物性の変異は新形質・系統試料米に比べると小さかった.
    (3) 1992年産米17点を用いて物性測定項目と成分・官能検査項目との単相関を調べた結果,アミロース含量は変異が45%と小さいものの,高圧縮試験による全体の硬さと単相関が高かった.また,高圧縮試験よりも低圧縮試験の測定項目の方が官能検査項目との単相関が高かった.積算加重試験では弾性限界率よりも弾性限界距離の方が官能検査項目との単相関が高かった.
    (4) 1992年産米を用いて米飯物性に基づく官能検査項目の推定式を作成した.その結果,3種類の物性試験の中では,低圧縮試験の推定式が全官能検査項目において重相関係数が最も高く,また1993年産米を未知試料として検定した場合にも「総合評価」及び「粘り」の重相関係数が最も高かった.
    (5) 一般飯用米の官能評価による「粘り」を機器測定によって評価する場合には,低圧縮試験による米飯粒表層の2つの粘り指標の組み合わせが有効であることが示唆された.
    以上のことから,一般飯用米の食味を推定する場合には,3種類の物性試験の中では低圧縮試験による推定式が最も妥当であり,また,官能検査に対応した一般飯用米の粘りを機器測定によって評価する場合には,低圧縮試験の粘りのピーク値-H1及び付着量L3の両指標の組み合わせが有効であることが明らかになった.
  • 高橋 伸彰, 畑本 二美, 川合 信行
    1998 年 45 巻 7 号 p. 408-414
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    プレーンヨーグルトの風味を成分分析値から予測するための手法としてのNNの有効性を検討した.その結果,最適条件下におけるNNによる予測精度は,PCRの予測精度を上回っており,従来の官能検査法に変わる新規な評価法を確立できる可能性が示唆された.NNの構造の分析を行った結果,ヨーグルトのまずさを特定の成分との関連で説明することは一部可能であることが明らかになった.一方,ヨーグルトのおいしさは,特定の成分によって生じるというよりも,複数成分のバランスの上に成立する総合感覚であることが明らかになった.
  • 竹内 若子, 高橋 平八郎, 瓜谷 郁三
    1998 年 45 巻 7 号 p. 415-419
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    マッシュルームチロシナーゼによるチロシンのドーパへの水酸化反応において,分子内のアミノ基が初期の水酸化反応における電子供与体として作用するものと先に推定したが,このことは反応液中にアンモニアの生成が認められ,またアミノ基を保護したN-アセチルL-チロシンやp-ヒドロキシフェニルピルビン酸を基質とした場合に反応が進行しないことから支持された.一方,LC-MSにより各種の生成物が認められたが,そのうちの主要反応生成物の一つが5,6-ジヒドロキシィンドールと同定された.それをもとに植物におけるメラニン生成機構での新たなもう一つの経路の存在を提示した.
  • 玉川 浩司, 飯塚 崇史, 小堀 真珠子, 新本 洋士, 津志田 藤二郎
    1998 年 45 巻 7 号 p. 420-425
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    大麦糠由来のプロアントシアニジン少量体(2量体及び3量体)について,幾つかの抗酸化性及び抗変異原性試験を行った.また,その作用をカテキン類と比較した.
    (1) プロアントシアニジン少量体のスーパーオキシド及びDPPHラジカルに対する捕捉能を測定した結果,その作用はプロデルフィニジン少量体がプロシアニジン少量体よりも大きい傾向を示した.また,その作用は(-)-EGC及び(-)-EGCGに匹敵した.
    (2) プロアントシアニジン少量体のMNNG及びTrp-p-1に対する抗変異原性を測定した結果,ラジカル捕捉能と同様にその作用はプロデルフィニジン少量体がプロシァニジン少量体よりも大きい傾向を示した.また,その作用は(-)-EGCG及び(-)-EGCと同等あるいは少し劣る程度であった.
    以上から,プロアントシアニジンにおいても,構成単位となるカテキン骨格のB環にピロガロール型構造を持っ化合物が,カテコール型構造を持つ化合物より,比較的抗酸化性及び抗変異原性が大きいことがわかった.
  • 肥後 温子, 野口 駿
    1998 年 45 巻 7 号 p. 426-434
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    タンパク質練生地をマイクロ波加熱すると,水分制限下にもかかわらず水分蒸発が速く,熱伝導加熱と異なる特有の物性変化がみられるところから,水分子の挙動とその派生効果に注目して調べた.なおこの際,低含水領域における水和量の報告が少ないので,各種練生地について未加熱時の“結合水量”測定を行なった.
    (1) 17種類の市販タンパク質についてパルスNMR測定を行ない,一定の仮定のもとに換算した結果,“結合水量”は0.038~0.276g/g乾物となり,少ないのはゼラチン,リゾチーム,ポリペプトン,カゼイン,多いのは大豆グロブリン,ヘモグロビンであった.なお,低含水領域は“結合水”の占める割合が高くなることがわかった.
    (2) 練生地をマイクロ波加熱すると,卵アルブミン,乾燥全卵は激しく膨化発泡し,カゼイン,グルテン,大豆グロブリンは粘弾性が強い凝固物となり,またゼラチンは溶けたように軟らかくなった.
    (3) 卵アルブミン,カゼイン,グルテン,大豆グロブリン,ゼラチンとも,マイクロ波加熱後パルスNMRによる“結合水量”が増加し,熱伝導加熱法より多くなった.ただし,加熱法による差がみられたのは一部の水分域のみであった.
    (4) 水分蒸発速度,“結合水”の変動量,膨化による伸張度の間には相関性があり,マイクロ波加熱では水の動態変化が誘因となって一連の非伝熱的な変化が進行していることが示唆された.
    (5) マイクロ波加熱試料は脱着後の収着水分量,単分子吸着水量が多くなった.
    (6) マイクロ波加熱法では水分活性が急速に低下した.
    以上より,低水分域における水の状態変化が,マイクロ波加熱による一連の非伝熱的な物性変化の重要な誘因であろうと推察した.
  • 浅野 祐三, 外山 一吉
    1998 年 45 巻 7 号 p. 435-439
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) 膜乳化法でO/Wエマルションを調製することによって,油相濃度10%(v/v)の単分散粒子を有するエマルションを得ることができ,膜細孔径を変えることによってそれぞれ有意差のある4種類の平均が5.48, 14.19, 21.82, 27.71μmの分散粒子径を有するエマルションを得た.
    (2) 膜乳化法技術と安定な水相組成を選択することによって,通常は不安定である大きな分散相粒子を有する条件でも1ケ月後のエマルション粘度及び分散粒子径でほとんど変化のない安定なエマルションを調製することができた.
    (3) 分散粒子径,あるいは分散粒子全表面積とエマルション粘度との間には強い相関が見られ,分散粒子径が小さくなると分散粒子全表面積が大きくなり,エマルション粘度,相対粘度は大きくなった.これは,これまでの報告と一致した結果であった.
    (4) SHERMANがアイスクリームミックスで求あたエマルション分散粒子従と粘度の関係で,粒子径が1.5um未満の小さな領域では分散相濃度が10%(w/w)の場合ほとんど粒子径と粘度との相関が見られていなかったが,本実験結果の粒子径が5μm以上では強い相関が得られた.
    (5) 粒子径のフアクターが入ったMooney's equationに本実験データを当てはめて相対粘度を求めたが,相対粘度の値がほぼ一定となってしまい,本実験データとは一致しなかった.
  • 有限要素法による有効熱伝達係数の決定
    田中 俊一郎, 田中 史彦, 王 世清, 守田 和夫
    1998 年 45 巻 7 号 p. 440-444
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    イチゴ果実の通風冷却試験を行い,果実内部の経時的・空間的温度変化を有限要素法により解析するとともに,冷風の速度(空塔速度)と有効熱伝達係数との関係について調べ,次の知見を得た.(1) 有限要素法により解析した,冷却時の果実内部の経時的・空間的温度変化は果実の中心および果実表皮部の温度変化の実測値とよく一致し,同解析方法が妥当であることが明らかになった.(2) 有限要素法により決定した有効熱伝達係数は,空塔速度の関数となり,その関係は次式で示される.h=-3.97v2+55.3v+50.0ここで,hは有効熱伝達係数(kJ/m2・h・K)およびvは空塔速度(m/s)である.
  • 安川 拓次
    1998 年 45 巻 7 号 p. 445-449
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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