日本食品科学工学会誌
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HPLCによる各種緑茶に含まれるカテキン類の分析
西条 了康武田 善行
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1999 年 46 巻 3 号 p. 138-147

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抄録

(1) 粉砕した茶葉400mgをアセトン抽出→メチルイソブチルケトン溶解→メタノール溶解→ODS処理によりカテキン類を調製し,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った.
(2) 抹茶,高級煎茶,普通煎茶,番茶,焙じ茶など5種類の日本茶について調べたところ,(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(-EGCg),(-)-エピカテキン-3-ガレート(-ECg),(-)-エピガロカテキン(-EGC),(-)-エピカテキン(-EC)など4種類の主要カテキン類含有量が,総カテキン類の殆どを占めていた.
また熱変化生成カテキン類(エピメル化物)である(-)-ガロカテキン-3-ガレート(-GCg),(-)-カテキン-3-ガレート(-Cg),(-)-ガロカテキン(-GC),(-)-カテキン(-C)も少量であるが検出された.特に焙じ茶には多く存在した.
(3) 中国緑茶(竜井茶,雲南茶,ガンパウダー),ベトナム緑茶,インド緑茶(ダージリン茶,ダージリン・シルバーチップ)など6種類の外国産緑茶には,日本茶よりも総カテキン量が多く,主要4カテキン類特に(-)-エピガロカテキン-3-ガレートが多かった.4種類の熱変化生成カテキン類も存在した.また少量成分として(-)-エピガロカテキン-3-メトキシガレート(-EGCmetg),(-)-エピカテキン-3-メトキシガレート(-ECmetg),(-)-エピガロカテキン-3,5-ジガレート(-EGCgg),(-)-エピカテキン-3,5-ジガレート(-ECgg)などの存在が確認された.
以上のことから,日本茶,外国産緑茶からはFig.1に示した全てのカテキン類と,熱変化生成カテキン類4種類がHPLCにより確認された.
(4) -EGCg/-EGC,-ECg/-ECの比率は製茶原料用茶生葉の葉位,成熟度などの情報を与えるものと考察した.
熱変化生成カテキン類は焙じ茶製造時に生成したと考えられる.
2種類のジガレート(-EGCgg,-ECgg),2種類のメトキシガレート(-EGCmetg,-ECmetg)はそれぞれアッサム種,中国種の特有成分と推定した.

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