梅干し加工工場の梅酢から耐塩性及びクエン酸資化性の強い酵母を分離し,Pichia anomalaと同定した.分離酵母に対するクエン酸,エタノール,酢酸,ソルビン酸及びチアミンラウリル硫酸塩の抗菌作用を調べた.培地の食塩濃度が高くなるほど抗菌剤は低い濃度で効果を示し,10%食塩濃度の梅酢を用いた場合,クエン酸は1%,エタノールは6%,酢酸は0.3%,ソルビン酸カリウムは0.004%,チアミンラウリル硫酸塩は0.001%で,各々,増殖を阻止した.生梅の漬け込み食塩濃度を10%とし,酢酸を0.5%,またはソルビン酸カリウムを0.05%添加した場合,製造工程中に酵母の増殖が抑制され,食塩10%の梅干し製品を作ることができた.