日本食品科学工学会誌
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ラットのコレステロール代謝改善効果を有する酒粕粉末の調製
持田 和美栗林 喬斉藤 憲司菅原 正義
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2000 年 47 巻 2 号 p. 78-84

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抄録

付加価値が高く多くの食品に応用可能な酒粕粉末を調製する目的で板酒粕を洗浄・乾燥した結果,通風乾燥では可溶性糖と着色が発生することがわかった.また,水洗によって酒粕中の可溶性成分を除いてから凍結乾燥した粉末が白色で外観も良く,タンパク質と食物繊維に富むことがわかった.この酒粕粉末を高コレステロール飼料に添加して,ラットに投与した結果,糞便重量と糞中タンパク質が増加,盲腸内pHの有意な低下,有意な血清コレステロール上昇抑制を示し,糞中への中性・酸性ステロールの排泄量が増加する傾向を示した.しかし,胆汁酸組成は経口的に投与したコール酸排泄量のみが増加し,腸内細菌の修飾を受けた二次胆汁酸排泄に変化はなかった.以上の結果から,水洗・凍結乾燥酒粕粉末は,難消化成分に富みコレステロール上昇抑制効果を有する食品素材であることがわかった.

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