日本食品科学工学会誌
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ハチミツ限外濾過プロセスの特性評価
伊藤 新次寺川 美加正木 孝生山崎 勝己小久保 謙一渡辺 敦夫
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2000 年 47 巻 6 号 p. 431-438

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抄録

高粘度であるハチミツの限外濾過処理をするときの希釈条件,膜種および操作条件が濾過性能に与える影響について検討し,ハチミツを効率的に濾過するために必要な操作条件を明らかにした.以下に得られた結果を要約する.
(1) 同一操作条件でハチミツを濾過すると,糖度が低いほど,また,温度が高いほど,回収速度が大きい.
(2) ハチミツを希釈すると糖度の低下に伴って水分活性値が増加する.この傾向はハチミツの種類によって若干異なる.今回用いた4種類のハチミツにおいて,細菌の増殖抑制効果が期待できる水分活性値0.94以下を満足する糖度は35.5%以上である.
(3) 分画分子量10000から30000の限外濾過膜は,ハチミツ種による透過流束の変化およびpHによる透過流束の変化が少なく,工業的な使用に適している.
(4) 透過流束が低いほど一定量の透過液を得るのに必要なエネルギーは少ない.また,一定量の透過流束を得るのに必要なエネルギーを計算することで,必要エネルギーを最小にする操作圧力と平均線速の組み合わせを求めることができる.

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