日本食品科学工学会誌
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UHT牛乳の官能特性に及ぼす殺菌温度の影響
UHT牛乳の官能特性および物理化学的性状に関する研究(第3報)
岩附 慧二溝田 泰達住 正宏外山 一吉冨田 守
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2000 年 47 巻 7 号 p. 538-543

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抄録

間接加熱法により殺菌したUHT牛乳の官能特性に及ぼす殺菌温度の影響を検討することを目的に専門パネルにより官能評価を行った.結果は以下の通りである.
(1) UHT殺菌による牛乳の物理化学的性状(乳清蛋白質変性率,HMF,レンネッタビリティー,ラクチュロース)への影響はUHT120<UHT130<UHT140の順に大きくなった.この傾向は特に乳清蛋白質の変性率およびレンネッタビリティーで明確に示された.
(2) UHT牛乳のおいしさの評価では大差ではなかったが,UHT130が最も好まれ,次いでUHT120が好まれた.UHT140は3種類の牛乳の中ではやや劣る傾向にあった.
(3) UHT牛乳のおいしさには匂いの好み,後味の好み,新鮮感が重要であることや,ミルク味の強いことも好ましいと評価される要因であることが認められた.
(4) UHT処理の殺菌温度が高くなるほど濃厚感が強くなり,UHT140が最も濃厚感が強い牛乳として位置づけられたが,風味のくせについては各UHT牛乳でほとんど差異はなかった.

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