日本食品科学工学会誌
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マヨネーズ保存中の卵黄タンパク質の変化
梶野 涼子戸塚 順子松岡 博厚笹子 謙治
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2003 年 50 巻 9 号 p. 386-391

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抄録

卵黄を使用した対照エマルションおよび市販マヨネーズを試料とし,保存中の卵黄タンパク質の変化を調べるため,試験を行った.
対照エマルション試料では,40°C,3時間,室温,3日間および5°C,3週間の条件で保存試験した結果,TCAろ液中の遊離チロシン量は経時的に増加し,40°C,3時間の条件では20μg/ml,室温,3日間および5°C,3週間では50μg/ml増加した.SDS-PAGEパターンにおいても経時的にパターンが変化し,とくに200kDa付近のバンドが消失し,また165kDa付近等に新しいバンドが認あられた.対照エマルション試料(非加熱)では,卵黄のAPase活性の大部分が存在した.
工場で製造した直後のロットの違う新鮮市販マヨネーズの保存試験を行った結果,2試料間で程度の差が認められたが,保存中における卵黄タンパク質の変化が確認された.
店頭より購入した市販マヨネーズA,B,CおよびD試料に存在するプロテイナーゼ活性を新鮮対照エマルション試料と比較すると,試料AとBでは0.7倍,C試料では2.3倍,D試料では1.3倍であった.また,これら市販マヨネーズのSDS-PAGEパターンは,対照エマルション試料と同様,200kDa付近のバンドが完全に消失し,165kDa付近のバンドが新たに出現し,卵黄タンパク質が変化していることを示していた.

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