日本食品科学工学会誌
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電解生成水が赤飯の色調に及ぼす影響
小林 健治原 安夫
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2004 年 51 巻 7 号 p. 358-366

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抄録

水道水を原水として隔膜電解槽で電気分解して得られた電解生成水が赤飯の色調に及ぼす影響について検討を行い以下の結果を得た.
(1) 酸性電解水pH4,pH5共に原水に対して総ポリフェノールの抽出量が多く高い渋切り効果が確認された.そして,pHとアルカリ土類金属に着目しその原因について検討したが明確に出来なかった.
(2) アルカリ性電解水を用いて調製した煮汁液は可視領域の吸収が大きく濃色効果が認められ,赤飯も色が濃くなった.このアルカリ性電解水の濃色効果は色素の抽出量の変化ではなく水酸化ナトリウムより高い緩衝能であることが示唆された.しかしながら,アルカリ性電解水を用いた煮小豆は吸水率は高かったが赤味が低下する問題があった.酸性電解水で調製した煮汁液は原水に対して可視領域の吸収が小さく淡色効果が認められ,赤飯でもその傾向は見られた.
(3) AEW→BEWで調製した煮汁液は機器分析において原水より濃色化し,赤飯も色が濃くなり,煮小豆の色調は原水とほぼ同程度であった.官能試験においてはAEW→BEWの赤飯,煮小豆共に赤色が濃くなることが確認され,AEW→BEWの赤飯は原水より有意に好まれた.

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