オレオサイエンス
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総合論文
核内受容体PPARが関与する脂質代謝制御機構と発癌の特性
渡辺 隆史須賀 哲弥
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2001 年 1 巻 11 号 p. 1057-1064,1046

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抄録
ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体, peroxisome prohferator-acdvated receptor (PPAR) は脂質代謝を含むエネルギーホメオスタシスに関わる核内ホルモン受容体スーパーファミリーのひとつである。リガンドの結合により活性化されると, このリガンドー受容体複合体は転写因子として標的遺伝子のプロモーターに結合し遺伝子発現を誘導する。PPARには構造的・機能的に異なるドメインがあり, それぞれ1) リガンドとの結合, 2) リン酸化, 3) コファクターとの相互作用という独自の機能を果たす。また3種類のアイソフォーム, α, β (δ), γが知られており, それぞれリガンド特異性, 組織分布が異なっている。PPARを活性化させるリガンドには脂肪酸, エイコサノイド, 脂質低下薬, チアゾリジンジオン類など構造的に極めて多岐にわたる化合物が含まれる。したがってPPARは脂質代謝の制御因子の一つとして細胞のエネルギーホメオスタシスに関わると考えられている。一方, PPARの名称の由来となったペルオキシソーム増殖薬とは非遺伝子毒性 (非変異原性) 発癌物質のなかで最大多数を占める一群の化学物質である。これらは細胞内穎粒ペルオキシソームを増殖させる作用があることからこのように呼ばれる。ペルオキシソーム増殖薬による発癌の機構として酸化的ストレスや細胞増殖/分化制御の破綻が重要視されてきたが, この発癌過程にPPARが必須の役割を果たすことが, ノックアウトマウスを用いた研究から明らかになっている。
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© 2001 公益社団法人 日本油化学会
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