オレオサイエンス
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総合論文
脂肪酸代謝とSREBP
佐藤 隆一郎
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2001 年 1 巻 11 号 p. 1065-1072,1047

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抄録
SREBPはコレステロール, 脂肪酸代謝に関与する遺伝子群の転写を制御する転写因子である。SREBPは互いに47%のアミノ酸相同性を有するSREBP1とSREBP2からなる。他のbHLH-Zip (basicHelix-LooP-Helix leucine Zipper) を持つ転写因子とは異なり, SREBPは小胞体膜あるいは核膜上の膜蛋白質として合成される。bHLH-Zip領域を含む転写因子活性部位は2段階の切断機構を介して膜から切り離される。SREBPファミリーの中で, SREBP1が主として脂肪酸代謝調節を行う。SREBP1にはalternativesplicingにより生成されるSREBPlaとSREBPlcが存在するが, 1cはN末端の転写活性化領域の24アミノ酸残基が欠損しており, 1aに比べて転写因子としての活性は低い。SREBPlの調節遺伝子として脂肪酸合成酵素, アセチルCoAカルボキシラーゼ, ATPクエン酸リアーゼ, ステアロイルCoAデサチュラーゼ, グリセロ3燐酸アシルトランスフェラーゼが挙げられる。最近の研究結果から, 多価不飽和脂肪酸がSREBP1の活性化を抑制することが明らかになり, その作用機序の詳細の解明が待たれる。SREBPの機能を介してコレステロール代謝と脂肪酸代謝が密接な関係を持ちつつ制御されている事実は特筆するに値する。
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© 2001 公益社団法人 日本油化学会
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