オレオサイエンス
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総合論文
薬物担体粒子の構造設計
川口 春馬
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2001 年 1 巻 7 号 p. 757-764,723

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抄録
低分子医薬はしばしば高分子微粒子に包含にされて利用させる。それにより, 薬物の安定化, ターゲッティング化, 徐放化などを効果的に行うことができるからである。この目的で使われる粒子は, 無毒であり, 残留性が小さいことが望まれる。そのような基準にたって, 多くの場合, 薬物担体粒子を構成する高分子として, 天然高分子, および/または, 生分解性高分子が選択される。粒子の作製法は既存の高分子から微粒子を作成する方法および微粒子作製重合に大別される。既存の高分子から微粒子を作製する方法には, 沈殿法, 相分離法, 自己組織化法, 高分子溶液滴から溶媒を除く方法, 液滴硬化法, スプレイドライ法, などがある。微粒子精製重合には, 乳化重合や変則乳化重合, 分散重合, 沈殿重合がある。いずれの方法でも, 好ましい粒子を得るためには表面を安定に保つことが必要で, その目的のために, しばしばポリエチレングリコール, あるいはポリエチレングリコールと疎水性ポリマーからなるブロック共重合体が使われる。後者を使った高分子ミセルや, 内部にスペースをもつナノ粒子であるデンドリマーは, 今後用途を拡張していくものとして特に期待される。
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© 2001 公益社団法人 日本油化学会
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