オレオサイエンス
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1 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 金子 英雄, 柘植 英哉, 嶋林 三郎
    2001 年1 巻7 号 p. 725-733,722
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    “オレオサイエンス” の研究領域における知識と技術は, 製剤の処方研究において大変有用であり, 製剤処方設計の単位操作に頻繁に応用されている。しかし最近の製剤研究においては, 開発候補品のもつ薬としての資質が複雑化し, 難溶性薬物や高分子医薬を目指した分子量の大きな化合物の製剤化が増加し, 従来技術に加えて新たな技術的挑戦が必要である。これらの薬物の製剤研究において考慮すべき問題の解決には, ドラッグデリバリー技術が有用であると考えられるので, 本稿ではこのドラッグデリバリー技術を支える基盤技術としての評価技術に注目した。凝固点 (蒸気圧) 降下法による低分子薬物の自己会合, リポソームクロマトグラフィによるヒト経口吸収性, 浸透圧法によるリボソームの物理化学的安定性, ゼータ電位測定によるリボソームの水和層の厚さ, 誘電緩和測定によるW/Oエマルジョンの凝集, 動的光散乱法による超音波造影剤パーフルオロカーボン/水エマルジョンの粒子径, 表面プラズモン現象を利用した免疫反応, そして光散乱法による高分子医薬の分子量といった種々の項目について, その評価方法の具体的な応用例を示した。
  • 大島 広行
    2001 年1 巻7 号 p. 735-742,722
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    濃厚コロイド分散系における界面電気現象に関する基本的な理論について解説する。種々のコロイド粒子 (剛体粒子, 柔らかい粒子, 高分子電解質等) の電気泳動移動度とゼータ電位 (または電荷) の関係式を与える。希薄系における静的電気泳動からはじめて, 動的電気泳動, 濃厚系における静的および動的電気泳動について述べ, 最近の濃厚系を対象にしたゼータ電位測定法であるCVP (Colloid Vibration Potential) 法とESA (Electrokinetic Sonic Amplitude) 法について解説する。
  • 宮田 勇, 米勢 政勝
    2001 年1 巻7 号 p. 743-755,723
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    W/O型マイクロエマルションにゼラチンを添加して生成される新規ゲル (マイクロエマルションベースーオルガノゲル, MEBG) が, 1986年にLuisiらとEickeらによって最初に報告された。それ以来, MEBGの形成条件, 形成機構, 構造などの多くの研究がなされている。MEBGは熱可逆性の透明なゲルであり, その系内に水相領域とオイル領域が共存しており, 多くの反応性のある分子を共同的に可溶化することができる素材である。従って, 化学的, 薬学的な応用に対して, MEBGは非常に興味ある素材となっており, 応用研究も始められている。この総説では, まず, MEBGの形成条件, 形成機構構造の研究について記述した。次に, MEBGの物理化学的性質について記述し, さらに, MEOGの応用研究の例および応用への基礎研究について記述した。
  • 川口 春馬
    2001 年1 巻7 号 p. 757-764,723
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    低分子医薬はしばしば高分子微粒子に包含にされて利用させる。それにより, 薬物の安定化, ターゲッティング化, 徐放化などを効果的に行うことができるからである。この目的で使われる粒子は, 無毒であり, 残留性が小さいことが望まれる。そのような基準にたって, 多くの場合, 薬物担体粒子を構成する高分子として, 天然高分子, および/または, 生分解性高分子が選択される。粒子の作製法は既存の高分子から微粒子を作成する方法および微粒子作製重合に大別される。既存の高分子から微粒子を作製する方法には, 沈殿法, 相分離法, 自己組織化法, 高分子溶液滴から溶媒を除く方法, 液滴硬化法, スプレイドライ法, などがある。微粒子精製重合には, 乳化重合や変則乳化重合, 分散重合, 沈殿重合がある。いずれの方法でも, 好ましい粒子を得るためには表面を安定に保つことが必要で, その目的のために, しばしばポリエチレングリコール, あるいはポリエチレングリコールと疎水性ポリマーからなるブロック共重合体が使われる。後者を使った高分子ミセルや, 内部にスペースをもつナノ粒子であるデンドリマーは, 今後用途を拡張していくものとして特に期待される。
  • 中嶋 武尚, 牧野 公子
    2001 年1 巻7 号 p. 765-772,723
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    生体内にはサーカディアンリズムが存在し, 薬物動態に影響を与えるような多くの因子が一日の中で変動することが知られている。例えば, 血流速度, 血圧, 血中のホルモン濃度などは一日の中で時間に依って異なる。50年間, 薬物投与時間と治療効果の関係が時間薬理学の領域で研究されてきた。その拮果, ある種の薬に関しては, 薬物の血中濃度が一定であることよりも, ある時間に投与することが有効であることが明らかになった。このような薬物に対しては, 新しい薬物放出システムであるパルス薬物放出製剤が有用である。本稿では, S字型薬物放出システム, 時間制御型崩壊システム, PULSINCAP, OROS時間遅れ薬物放出システム等のパルス薬物放出製剤を招介する。また, 錠剤成形の新技術として, 3次元プリントを招介する。
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