オレオサイエンス
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学会賞・進歩賞受賞総説論文
超臨界二酸化炭素中における機能性分子集合体の構築
鷺坂 将伸
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2011 年 11 巻 12 号 p. 481-490

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抄録
超臨界流体になった二酸化炭素は, 有機溶媒に似た物質溶解能力を現すようになる。無毒, 不燃性, 環境調和, 低コスト, 豊富に存在するといったCO2のメリットもあり, 有害有機溶媒の代替物質として多くの人の関心を集めている。また, 超臨界流体の特性 (調節可能な溶媒力, 速い物質輸送特性, 低表面張力など) も超臨界CO2の魅力として加わり, 超臨界CO2の利用が活発に進められている。しかし残念ながら, CO2は, ファン・デル・ワールスカがかなり弱いため, 不揮発性の極性物質に対しては貧溶媒である。これに対し, 超臨界CO2中に極性溶媒の水を安定に分散したW/CO2マイクロエマルション (W/CO2μE) が形成できれば, 物質の極性を問わず利用できる万能溶媒になると期待される。本総説では, 超臨界CO2中で効率的に水を分散させる界面活性剤の構造, 形成したW/CO2μEの相挙動とナノ構造, さらには応用についても紹介させていただく。
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© 2011 公益社団法人 日本油化学会
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