抄録
糖はその構造の多様性および生命過程における重要性から,水中における簡易,迅速かつ選択的な識別が重要課題となっている。そのため,現在様々なセンサーが開発されている。なかでもボロン酸は糖などのジオールと共有結合性の環状エステルを形成することが知られており,糖認識センサーを設計する上で重要な官能基となっている。本稿では,フェニルボロン酸の応答原理と糖選択性,および多点でのグルコース認識の重要性を紹介する。また,ボロン酸型蛍光センサーとシクロデキストリン(CD)の組み合わせを用いた超分子型化学センサーの設計について,CD複合体および化学修飾CD複合体の糖認識機能を中心に解説する。