オレオサイエンス
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13 巻, 3 号
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総説
  • 酒井 康博, 伊藤 耕三
    2013 年 13 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    幾何学的な拘束により物性が設計・制御される超分子構造体は近年大きな注目を集めており,複数の環状分子が線状高分子に包接されたネックレス状構造を持つポリロタキサン(PR)は,そのような物質の代表例である。我々のグループでは,PRの環状分子同士を架橋することにより,可動な架橋点を有する環動ゲルを合成した。環動ゲルは,架橋点の可動性のため従来のゲルにはない特異な力学特性を示す。 最近では,可動架橋点の概念は溶媒を含まないエラストマーにも適用されており,そのような物質を総称して環動高分子材料(SRM)と呼ぶ。SRMは塗料や防振材など,様々な分野への実用化が始まっているが,これらが用いられる環境はいずれも固体状態である。したがって,SRMやその原料であるPRの固体状態における構造や物性に関する知見の蓄積が,今後のさらなる応用展開に向けて非常に重要である。本稿では,PRおよびその誘導体の固体状態における構造と力学物性を,広角X 線散乱および粘弾性測定により調べた結果について報告する。また,最近のSRMの応用展開についてもいくつか紹介する。
  • 早下 隆士
    2013 年 13 巻 3 号 p. 117-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    糖はその構造の多様性および生命過程における重要性から,水中における簡易,迅速かつ選択的な識別が重要課題となっている。そのため,現在様々なセンサーが開発されている。なかでもボロン酸は糖などのジオールと共有結合性の環状エステルを形成することが知られており,糖認識センサーを設計する上で重要な官能基となっている。本稿では,フェニルボロン酸の応答原理と糖選択性,および多点でのグルコース認識の重要性を紹介する。また,ボロン酸型蛍光センサーとシクロデキストリン(CD)の組み合わせを用いた超分子型化学センサーの設計について,CD複合体および化学修飾CD複合体の糖認識機能を中心に解説する。
  • 佐藤 慶太, 石田 善行, 生田 直子, 上梶 友記子, 中田 大介, 寺尾 啓二
    2013 年 13 巻 3 号 p. 123-130
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    健康増進作用や美容効果のある機能性食品素材の中には紫外線や酸素の存在下,或いは,高温下において安定性に問題のある物質が多くみられる。シクロデキストリン(CD)はそのような活性成分の1分子1分子を包接化することでそれらの安定性を確保できる。また,配合禁忌の関係にある物質同士の配合においても,その物質のどちらか一方を,あるいは,双方を包接化することで,機能性食品としての同時配合が可能となる。ここでは,不飽和脂肪酸,R-α-リポ酸,コエンザイムQ10などの健康美容効果を期待されながらも変質を起こしやすく安全性が確保されていない機能性食品素材のCDによる安定性改善について我々の研究を中心に紹介する。
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