オレオサイエンス
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特集論文
細菌における高度不飽和脂肪酸含有リン脂質の生理機能
川本 純栗原 達夫
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2013 年 13 巻 5 号 p. 221-229

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抄録
エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸などの長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFA)は,多様な生理活性を示す必須脂肪酸である。生体膜を構成するリン脂質のアシル鎖として存在するPUFAは膜の物理化学的特性を変化させることで,周辺の膜タンパク質の機能発現に関与していることが予想されるが,PUFAの機能発現機構の詳細は明らかではない。一方で,極地周辺や深海などの低温環境から単離された海洋性細菌の多くがPUFAを生産することが知られている。近年,高等生物に比べて単純な構造の細胞を形成するこれらの微生物を用いた研究により,PUFAが従来知られていなかった生理的役割を担っていることが明らかとなってきた。本稿では,南極海水より単離された低温菌におけるEPA生合成機構と,本菌の環境適応におけるEPAの生理機能について紹介する。
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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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