オレオサイエンス
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特集総説論文
電気二重層とコロイド分散系の凝集
足立 泰久小林 幹佳Lili FENG辻本 陽子山下 祐司
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2013 年 13 巻 7 号 p. 299-307

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抄録
電気二重層は,今から200年以上も前にReussによって報告された界面動電現象の実験結果に引き続く50年以上の試行錯誤の結果,明らかにされた概念である。当時は,水溶液中で物質がイオンへ解離することは知られていなかった。その後,Smoluchowskiによって理論的にも明らかになった電気二重層の考え方に,イオンのBoltzmann分布の考え方が組み込まれ,拡散電気二重層の描像が導かれた。この描像を液中で接近しあう2つの帯電表面の相互作用に導入することによって,コロイド分散系の安定性を解析する理論的枠組み,すなわちDLVO理論が構築された。DLVO理論の有効性はコロイド粒子の凝集分散の閾値となる塩濃度(臨界凝集濃度)におけるイオンの価数の依存性(Schulze-Hardy則)との整合性から強調され,表面間力の直接測定で決定的なものとなった。しかし,現時点においてDLVO理論だけで,実用的な観点から求められるコロイド粒子の凝集分散挙動の予測に対し満足できる精度の情報は提供されない。本稿では,界面動電現象に関する研究の長い歴史的展開1)を踏まえ,最も単純な1次元平板問題からコロイド粒子の凝集現象と電気二重層とのかかわりを整理し,残された課題について解説する。
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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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