2014 年 14 巻 12 号 p. 531-537
ビタミンDはカルシウムおよび骨代謝調節において重要な役割を果たす。ビタミンDの栄養を最も良く反映する代謝物は25-hydroxyvitamin D(25-D)であり,血中25-D濃度の低下は骨代謝に悪影響を及ぼす副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇を招く。さらに,ビタミンD不足状態は,骨代謝異常だけでなく血管疾患,転倒,筋力低下,がん,感染,死亡率などと関連することが報告され,さまざまな面で健康状態を損なわせることが明らかになってきた。しかし,これらの疾患予防のために必要とされる最適なビタミンD栄養状態については未だ議論の的である。本稿では,ビタミンD機能に関する最近の知見とビタミンD補給に関するメタ解析,およびビタミンDの必要量について概説する。