オレオサイエンス
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14 巻, 12 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集総説論文
  • 高橋 典子, 今井 正彦, 李 川
    2014 年 14 巻 12 号 p. 523-530
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    ビタミンAは約200年前に発見されてから,様々な役割を果たす重要な栄養素として認められてきた。現在,活性型ビタミンAであるレチノイン酸は前骨髄性白血病患者に対し分化誘導療法薬(抗がん剤)として使用されているが,他のがんや疾病に対する応用も期待される。近年,レチノイン酸以外のレチノールを含むレチノイドに抗がん作用があることが示され注目が集まっている。そこで本稿では,ビタミンAの供給,及び,生体内でのビタミンAの動態,代謝,作用についての新しい知見を,1)β-カロテンの作用と供給源としてのレッドパーム油,2)レチノイン酸の腸内免疫賦活作用,3)ビタミンAに関連する新技術[レチノイン酸の可視化,レチノイン酸結合タンパク質の分解促進法,レチノイン酸のLC/MS/MSによる新規定量法],4)ビタミンAに関連する新素材[新規レチノイン酸誘導体由来化合物の抗酸化作用と抗がん作用(Non-genomic action)],の内容で紹介する。ビタミンAの補助食品としての活用法の構築や予防薬・治療薬の開発を行い,健常人や患者のQOLの向上に寄与できる研究を目指す。

  • 津川 尚子
    2014 年 14 巻 12 号 p. 531-537
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    ビタミンDはカルシウムおよび骨代謝調節において重要な役割を果たす。ビタミンDの栄養を最も良く反映する代謝物は25-hydroxyvitamin D(25-D)であり,血中25-D濃度の低下は骨代謝に悪影響を及ぼす副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇を招く。さらに,ビタミンD不足状態は,骨代謝異常だけでなく血管疾患,転倒,筋力低下,がん,感染,死亡率などと関連することが報告され,さまざまな面で健康状態を損なわせることが明らかになってきた。しかし,これらの疾患予防のために必要とされる最適なビタミンD栄養状態については未だ議論の的である。本稿では,ビタミンD機能に関する最近の知見とビタミンD補給に関するメタ解析,およびビタミンDの必要量について概説する。

  • 池田 彩子
    2014 年 14 巻 12 号 p. 539-545
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    ビタミンK代謝に及ぼすビタミンEの影響を明らかにするために,ラットのビタミンK濃度に対するトコフェロール摂取の影響を調べた。ラットにα-トコフェロール(αT)添加飼料を6週間摂取させたところ,肝臓以外のさまざまな組織のフィロキノン(PK)濃度が低下した。また,PK経口投与後の組織への移行を調べたところ,αTによっていくつかの肝外組織のPK濃度が低下した。さらに,トコフェロール異化の律速酵素であるトコフェロール水酸化酵素が,PKの水酸化も触媒することが明らかになった。PKの水酸化は,PK異化の第一段階である。そこで,トコフェロールの異化を阻害するゴマリグナンが,PK濃度に与える影響を調べたところ,セサミン添加飼料の7日間の摂取によって,肝臓のPK,メナキノン-4 (MK-4),トコフェロール濃度が上昇した。以上の結果から,体内のPK濃度は,トコフェロール代謝の変動によって大きく影響を受けることが明らかになった。

  • 白川 仁, 桂井 朋子, 駒井 三千夫
    2014 年 14 巻 12 号 p. 547-553
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    ビタミンKは,血液凝固因子や骨基質タンパク質の翻訳後修飾過程において必須の因子である。 しかしながら,近年になり,腫瘍細胞への増殖阻害や分化誘導,核内受容体の活性化など,新しい機能についての報告が相次いでいる。ヒトや齧歯類では,摂取されたビタミンKは生体内でビタミンK2のひとつであるメナキノン-4(ゲラニルゲラニル基を側鎖に有する)へと変換される。UBIAD1(UbiA prenyltransferase domain containing 1)が本変換に関わる重要な因子として同定されたが,変換機構の全体についてはまだ不明な点が多い。本レビューでは,メナキノン-4変換や新しいビタミンK,特にメナキノン-4の作用に関する最近の知見をまとめ,本変換の生理的意義について考察した。

  • 鈴木 啓章
    2014 年 14 巻 12 号 p. 555-561
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    ビタミンKは正常な血液凝固の維持に必要なビタミンとして発見された脂溶性ビタミンの1つである。近年,ビタミンKは骨粗鬆症や動脈硬化の予防に効果があることが明らかになってきた。ビタミンKは骨のオステオカルシンや動脈のマトリックスGlaタンパク質を活性化することで生体内のカルシウム代謝を調節し,骨や動脈の健康維持に役立っている。骨の健康維持のためには食事摂取基準における摂取目安量よりも多くのビタミンKの摂取が推奨されている。食品に主に含まれるビタミンKのうち,納豆に含まれるビタミンKであるメナキノン-7が最も高い栄養価を有している。

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