オレオサイエンス
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特集総説論文
Exosomeの特性とexosomeを利用した診断・治療法の開発
森下 将輝高橋 有己西川 元也高倉 喜信
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2014 年 14 巻 7 号 p. 291-298

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抄録

エキソソームはタンパク質や核酸といった生体高分子を含む直径約30~100 nmの膜小胞である。エキソソームは様々な細胞から分泌されるが,その特徴は産生細胞により異なり,血液や尿をはじめとした全身のあらゆる体液中に存在する。近年,エキソソームは内包するタンパク質や核酸をエキソソームの取り込み細胞へと送達することで,細胞間コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしていることが明らかとなり,癌の転移や免疫応答など種々の生体内イベントにおけるエキソソームの関与が注目されている。 また,それとともに,その産生細胞に由来する特徴を有するエキソソームが,疾患診断のためのバイオマーカーとなりえるのではないかと期待されている。さらに,エキソソームをドラッグデリバリーシステム(DDS)として利用する試みも検討されている。本稿では,現在までに明らかとされているエキソソームの特徴や性質と,生体内イベントにおける役割について整理した後,エキソソームを利用した疾患の診断法と治療法の可能性について述べるとともに,エキソソームを基盤としたDDSの開発を目的とした,我々の取り組みを紹介する。

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© 2014 公益社団法人 日本油化学会
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