オレオサイエンス
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特集総説論文
脂肪組織の血管を標的とするナノ医療による肥満治療の新戦略
梶本 和昭
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2015 年 15 巻 3 号 p. 107-114

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抄録

1980年以降,肥満者の割合は世界中でおよそ2倍に増加しており,肥満は今や地球規模の健康問題となっている。しかしながら,肥満に対する有効な治療法は存在しないと言っても過言ではなく,新たな治療法の確立が強く望まれている。脂肪組織の形成・肥大化に血管が必須の役割を果たしていることから,脂肪組織の血管機能を選択的に制御することができれば,極めて安全かつ効果的な肥満治療が可能になると考えられる。そこで我々は,脂肪組織の血管を選択的に認識して薬物を送達する 「能動的ターゲティング」 に基づく新たなシステムの開発を進め,脂肪組織の血管内皮細胞の細胞表面に発現するprohibitinに対する高親和性ペプチド(KGGRAKD)を標的化リガンドとして搭載したProhibitin-Targeted Nano Particle (PTNP) の構築とin vivoにおける肥満治療への応用に成功した。さらに,肥満状態の脂肪組織では,がん組織と同様のenhanced permeability and retention effect (EPR効果) によって血中滞留性を有するナノ粒子の受動的な集積が促進されることを発見し,新たな肥満治療法として脂肪組織の血管を標的とするナノ医療戦略を世界に先駆けて提唱した。本総説では,その背景から最近の研究まで,筆者らの研究成果を中心に解説する。

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© 2015 公益社団法人 日本油化学会
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