2016 年 16 巻 1 号 p. 21-24
刺胞動物のイシサンゴ類の中で,褐虫藻と呼ばれる単細胞共生藻を持つものは有藻性サンゴあるいは造礁性サンゴと呼ばれ,褐虫藻の光合成産物を得て成長が早く,サンゴ礁の形成に貢献する。サンゴ類は,褐虫藻の光合成産物あるいは動物プランクトンなどを摂取し,脂質の形でエネルギー源を貯蔵する。 軟組織に占める脂質の割合は約30%(乾燥重量%)を占める。主要な貯蔵脂質は,ワックスエステルとトリアシルグリセロールで,それら貯蔵脂質の割合がサンゴの健康状態や環境変動の影響を計る指標になる。 例えば,褐虫藻密度の低下する病的な骨格過成長部あるいは近年の高水温による白化現象で褐虫藻の抜けたサンゴでは,貯蔵脂質が激減することがわかってきた。サンゴの脂質を調べることにより,サンゴの健康状態あるいは周辺環境の変化を把握することができる。