2016 年 16 巻 2 号 p. 71-80
コロイド粒子分散系の安定性に関するDerjaguin-Landau-Verwey-Overbeek(DLVO)理論によると,コロイド粒子間に働くvan der Waals引力と静電斥力のバランスによって分散系が凝集するか分散するかが決まる。この理論は表面構造をもたない剛体粒子を対象にしている。一方,細胞等の生体コロイド粒子は高分子電解質等のsoft matterで覆われたいわゆる柔らかい粒子であり,従来のDLVO理論と異なる新しい相互作用の理論が必要になる。本総説では,古典的なDLVO理論からはじめて生体コロイド粒子間相互作用のモデルである柔らかい粒子の相互作用について述べる。