2016 年 16 巻 2 号 p. 81-88
気/液臨界点(臨界温度:374℃,臨界圧力:22.1 MPa)近傍では,水は常温・常圧下とは著しく異なる性質を示す。例えば,常温・常圧下では80前後の水の比誘電率は,400℃,25 MPaでは2と,炭化水素に匹敵する値にまで低下する。その結果,水と炭化水素は自由に相溶するようになり,逆に無機塩の溶解度は著しく減少するまで低下する。そのような極限環境では,コロイド粒子の分散安定性も大きく異なってくる。本稿では,高温・高圧下でのコロイド分散液の振る舞いに関する研究結果を紹介する。加えて,臨界点(臨界温度:241℃,臨界圧力:6.1 MPa)近傍の超臨界エタノール中で,シリカ表面間に現れる超長距離の斥力相互作用に関する最新の研究成果もあわせて紹介する。