2016 年 16 巻 3 号 p. 119-127
フルオロアルキルアクリレート(FA)ポリマーは,繊維,カーペット,紙などへのフッ素系撥水撥油剤として幅広く使用されている。シリコーン系ポリマーでも撥水性は付与できるが,FAポリマーではさらに高耐水圧性,撥油性,防汚性をも付与でき,現在,撥水撥油剤としてはフッ素系が一般的となっている。近年,FAポリマーの原料であるフルオロテロマーに由来するパーフルオロオクタン酸(PFOA)の環境ならびに生体への蓄積性懸念が高まりより広く調査・研究が行われるようになった。本稿ではPFOA問題の概要,FAポリマーの構造と撥水性能発現機構の関係について触れ,PFOAを含まない環境適合型(短鎖型)のフッ素系撥水撥油剤の代替技術とその商品および今後の展望について述べる。