オレオサイエンス
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特集総説論文
MS/MS,HPLC-MS/MS,キラルHPLC-MS/MSを活用した脂質過酸化機構の評価
伊藤 隼哉仲川 清隆加藤 俊治宮澤 陽夫
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2016 年 16 巻 5 号 p. 233-242

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抄録

脂質は生体や食品で重要な役割を担う一方で,様々な酸化機構(酵素酸化,自動酸化,光酸化)を経て過酸化脂質となる。脂質の過酸化は,生体老化や疾患,食品劣化に密接に関与していると考えられているが,生体や食品における実際の酸化機構を明らかにできる分析法は確立されておらず,未だ不明な点が多いのが現状である。この問題を解決するために,近年注目されているのが過酸化脂質の異性体解析である。 過酸化脂質は酸化機構ごとに特徴的な異性体となることから,詳細な異性体解析により,生体や食品における脂質過酸化機構の推定ができると期待される。本稿では,著者らが開発した,脂肪酸ヒドロペルオキシドとリン脂質ヒドロペルオキシドの解析方法を中心に,MS/MS やHPLC-MS/MS,キラルHPLC-MS/MS を用いた過酸化脂質の異性体解析に関して紹介する。

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© 2016 公益社団法人 日本油化学会
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