オレオサイエンス
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特集総説論文
角層細胞間脂質のバリア機能
坂本 一民
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2017 年 17 巻 11 号 p. 539-548

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抄録

角層は表皮細胞の代謝物として人体の最外部に位置する厚さわずか10~30 μmの薄膜層であるが,体内からの水の蒸散を制御し外部からの物質の侵襲を防ぎ,陸棲動物としてのヒトの生存の鍵となるバリアーである。その構造は煉瓦に例えられる角層細胞と,その周りを塗り固めたモルタルに例えられるラメラ状に配列した半固形水和ゲル状態の細胞間脂質(SCL)からなり,セラミドとコレステロールと遊離脂肪酸を主成分とし,他の生体膜に見られない構造と機能を持つ。本稿は角層のバリア機能の中心的役割を果たしている角層細胞間脂質(SCL)の構造と機能について物理化学的視点から解説する。

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© 2017 公益社団法人 日本油化学会
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