オレオサイエンス
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特集総説論文
表皮に含まれる脂質のバリア形成における役割
内田 良一
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キーワード: skin, epidermis, barrier, lipids, ceramide
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2017 年 17 巻 11 号 p. 529-538

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抄録

皮膚の最外層を覆う表皮は,紫外線,乾燥,化学物質や病原微生物などの外界からの刺激を直接受けている。これら外界の影響を軽減し,正常な生体機能を維持するため,表皮は,複数種の防御(バリア)機能を備えている。表皮は機能的と性状的に異なる基底層,有棘層,顆粒層および角層の計四層から構成されるが,角層に殆どのバリア機能が集約されている。脂質は,角層の細胞間で表皮透過バリアを形成している。特に,他の組織に類をみない多様な分子種からなるセラミドは,バリア形成に必須な脂質となっている。また,セラミドの代謝産物は,セラミドと同様に表皮透過バリアの形成に関与するだけでなく,有核の表皮層(基底層,有棘層,顆粒層)において,情報伝達物質として,抗菌ペプチドの産生を調節し,抗菌バリアの形成に寄与している。

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© 2017 公益社団法人 日本油化学会
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