オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
特集総説論文
油脂酵母Lipomyces starkeyiにおける遺伝子組換えシステムの構築とその応用
高久 洋暁山崎 晴丈
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 17 巻 3 号 p. 107-116

詳細
抄録

自然界には,自身の菌体重量の20%以上の油脂を細胞内に蓄積する油糧微生物(細菌,酵母,カビ,藻類等)が存在する。油脂を発酵生産する油脂酵母として,Lipomyces starkeyiRhodosporidium toruloidesRhodotorula glutinisなどが知られているが,いずれも乾燥菌体重量の65%以上の油脂(トリアシルグリセロール(TAG))を脂肪球の形で細胞内に蓄積することができる優秀な油脂酵母である。その中でもL. starkeyiは,デンプンをはじめ,様々な糖を資化することができ,乾燥菌体重量の72.3%までTAGを蓄積することから,産業利活用可能な油脂生産微生物としての大きな潜在的能力を有すると考えられる。最近,L. starkeyiのゲノム配列が公開され,様々な油脂の合成・分解に関する遺伝子の機能が明らかになることが期待されている。遺伝子操作技術を活用して,油脂生産に関与する遺伝子を改変することにより,脂肪球の形成機構や油脂合成・分解メカニズムを明らかにすることができ,油脂生産性を改善し,産業的価値を有する油脂高生産L. starkeyi株の開発へ繋げることができると考えられる。しかしながら,L. starkeyiにおいて,そのような分子育種を行うための遺伝子工学的な技術開発は行われてこなかった。本総説では,L. starkeyiにおける油脂生産,形質転換システム,遺伝子ターゲティングシステム,遺伝子多コピー導入システムの開発について述べる。さらに,本技術を利活用したL. starkeyi の油脂の産業利用の可能性について述べる。

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本油化学会
次の記事
feedback
Top