2017 年 17 巻 3 号 p. 117-125
化石燃料の使用により二酸化炭素が蓄積され地球温暖化が引き起こされている。二酸化炭素蓄積抑制の一つとして,植物脂質をエステル化したバイオディーゼル燃料を用いるのが良い。しかし,地球温暖化が農業に悪影響をおよぼすことから,植物とは異なった培養環境が使える微生物を用いての脂質生産が必要であると考えた。その研究の主幹をなす,多くの酵母リポミセス菌株と再生可能炭素源を組み合わせた多数の系から脂質蓄積能力の高い菌株を選抜するスクリーニング実験を,プレート培養した菌の顕微鏡写真を撮り本菌の形態的特徴である脂肪球の体積を測定して脂質生産能力を調べる簡便・低コストの新たな方法を用いて行った。選抜された脂質蓄積能力の高い菌は炭素源からの中性脂質変換効率が高く,また弱い破砕でも脂肪球内の中性脂質の漏出割合が高かった。脂肪球内の脂質の効率良い回収には,脂肪球膜と細胞膜を破壊する必要があると判断し方法の検討を行った。また,微生物による脂質生産研究の動向についても解説をする。