2017 年 17 巻 7 号 p. 289-294
バイオディーゼル燃料(FAME)製造過程の副生物であるグリセリンを熱分解することにより,合成ガスを製造する研究を行った。ガス化に及ぼす反応条件の影響を,グリセリン試薬を用いた熱分解実験,および化学平衡計算により調査した。実験の結果,反応温度800 K以上において,グリセリンはH2,CO,およびC1~C2炭化水素からなる可燃性ガスに分解されることを示した。さらに,水添加を行うことにより,主に1000 K以下の温度条件におけるガス化率が向上することや,FAME製造過程において得られた廃グリセリンも,グリセリン試薬と同様に熱分解できることなどを示した。